お知らせ

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【研究費増額支援】海外共同研究による有機電解合成反応の開発 ― 米国Scripps研究所におけるレドックス反応研究 ―

本事業の研究費増額支援を受け、理学研究科博士課程の今井友也さんが、2025年12月8日~2026年3月20日にアメリカへ渡航し、海外共同研究を実施しました。

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報告者:今井 友也

所属研究科・専攻:理学研究科 理学情報専攻

実施した活動の名称:海外研究機関との共同研究

実施期間:2025年12月08日~2026年03月20日

実施場所・機関名:アメリカ・Scripps研究所

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SPRING事業の研究費増額支援を受け、約3か月間、Scripps研究所のPhil S. Baran教授の研究室に滞在し、有機電解合成を基盤としたレドックス反応の開発に取り組んだ。

滞在期間中は、電解反応を活用した二つの研究テーマに従事した。一つは、カルボニル基をトリフルオロメチル基へ変換する新規反応の開発である。フッ素原子の導入は化合物の物性を大きく変化させることから、医薬・農薬分野において重要な手法として注目されており、本研究ではこれまでに報告例のない変換反応の実現を目指した。

もう一つは、電解反応を用いたTwo-Directional Chain Synthesisの実践である。反応を分子の両末端で同時に進行させることで工程数の削減を図るTwo-Directional Chain Synthesisは、複雑な骨格を有する分子の合成に有効な手法とされており、本研究では効率的な分子構築手法の確立に取り組んだ。

また、研究室内および共同研究先とのミーティングにおいて研究成果の報告を行い、教授や研究員とのディスカッションを通じて研究内容の深化を図った。


■ 本活動で得られた成果

本共同研究を通じて、これまで取り組んだことのなかった電気化学的有機合成の手法を実践的に学ぶことができた。また、博士研究員からの指導により、実験操作の効率化に関する知見を得ることができた。

さらに、NatureやScienceといった高インパクト国際誌への論文発表を継続的に行う研究環境の中で、研究の進め方や成果創出のプロセスを学んだ。日常的なディスカッションを通じて、質の高い研究を生み出すための思考法や研究姿勢について理解を深めることができた。


■ 研究者としての成長

本活動では、専門分野に近接しつつも異なる研究領域に挑戦することで、新たな知見と技術を獲得することができた。特に、得られた結果をどのように解釈し、論文化へと展開するかという過程を実体験できたことは、自身の研究の進め方を見直す大きな契機となった。

また、国際的な研究環境の中で英語による議論を重ねたことで、コミュニケーション能力の向上を実感するとともに、海外での研究活動を将来の選択肢として具体的に意識できるようになり、キャリアの幅が広がった。


■ 今後の課題と展望

本活動を通じて、英語による発信力の重要性を強く認識した。議論の場において自身の考えを十分に伝えきれない場面もあり、語学力の向上が今後の大きな課題であると感じた。

今後は継続的に英語能力の向上に取り組むとともに、国際共同研究においてより主体的に貢献できる研究者を目指したい。


■ 活動全体を通して

Scripps研究所では、豊富な研究資源と優秀な人材を背景に、各研究室が高い視点から研究テーマを設定し、戦略的に研究を推進していた。そのような環境に身を置けたことは、大きな刺激となった。

特に印象的であったのは、Baran教授および研究チームリーダーとのディスカッションの機会である。世界的に著名な研究者を前に緊張したが、「Great work」と声をかけていただいた経験は、大きな自信となった。


本事業では今後も、博士(後期)課程学生が国際的な研究環境に挑戦し、世界水準の研究力を養う機会を積極的に支援してまいります。


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